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そこから見えるものは、なに?

この世界にあるすべてのものには
それだけの数の作り手の物語が存在すると思っています。

いつものカフェで飲むコーヒーだって、そのマグカップだって。座っている椅子にも。
壁にかかっている誰かが描いた絵も、本棚に置いてある文庫本も、ゆるやかに流れるその音楽も。
それから、カフェというお店そのものにも。この世界に、はじめは何にもなかったのだから。

にんげんも、おなじ。
生まれたときにはじまる物語の中で、自分じゃない多くの人の物語と複雑に関わりながら
ずーっと昔から、今日を、明日を、生きているんだと思います。

ところで、いまこのページを見ているあなたは、一つの物語に出会っています。

すって、はいて、そのくりかえしの中の一瞬を、たまには新しい場所に目を向けてみたら
例えば見慣れたその風景も、小さなシャボン玉が映せば虹色に光りはじめるように
ほんの少しでも、今日もいい日だなぁと、思えるような出会いがあるかもしれません。

ここでは、とある大学の、とあるバンドサークルの、とある音楽たちを、無料公開しています。

九州は福岡にある、九州大学。数多くあるバンドサークルの一つに
「Be-Rock (ビーロック)」という名前のサークルがあります。

100人以上が現役で活動するこのサークルでは、所属するバンドのオリジナル曲を集めた
「卒業アルバム」というコンピレーションCDを、毎年自主制作しています。

各バンドの曲作り、レコーディング、ミックス作業から、そのマスタリング、
また歌詞カードやジャケット等のデザイン作業、そしてCDコピー、製本と、
多くの部員が関わり、卒業シーズンの頃に一枚のCDが完成します。

いつもはサークルの中だけで配布されるこのCDですが、
去年から、このインターネットを通しての無料配信をしています。

各バンドが曲に込めた、また制作に関わっている多くの人が無意識に紡いだ”物語”を
このサークルの中だけにとどめておくのはもったいないな、もっと知って欲しいな、
そういう想いで、この場所での無料公開を決めました。

インターネットの向こう側にいる、そしておなじこの世界のどこかにいる、あなたに。
小さなシャボン玉がふわりと届けばいいなと思ってます。ぜひ聴いてみてください。

最後に。
去年に引き続き、この企画に協力して頂けたサークルの皆さん、感謝しています。
オリジナル曲を作っていない人も「やっぱBe-Rockっていいな」と少しでも思ってくれたら幸いです。

「Days of Be-Rock」を「Be-Rockの物語」と今年は訳したのですが、
きっとそれは、皆さんがサークルで過ごす何でもない日々そのものなんだと思います。

今年もいい物語でした。
また来年以降も、続いていきますように。


Days of Be-Rock 2013